ぶらしてゐるだけで。」
「お前さん手を貸してお呉れな、この袋を運ぶんだよ! どいつだか流しでしこたま貰ひ集めておいて、こんな道の真中へ棄てて行きをつたのぢや。儲けは山分けにするよ。」
「袋だつて? 何が入えつてるだね、白麺麭《クニーシュ》か、それとも扁平麺麭《パリャニーツァ》でも入えつてるだかね?」
「うん、いろいろ入つとるらしいだよ。」
 そこで二人は、手早く籬《まがき》から杭を二本ひき抜いて、それへ袋を一つ載せると、肩に担いで歩き出した。
「いつたい何処へ持つて行くだね、酒場へ行かうか?」と、途中で織匠《はたや》が訊ねた。
「それあ、おらもさう思はんでもねえだが、あの忌々しい猶太女め、てんでおれを信用しをらんのぢや。それでまた何処ぞで盗んで来たんだらうなどと、疑ひをかけるかも知れんと思ふのさ。それにおれはたつた今、その酒場から出て来たばかりだでな。これはおらの家へ持つて行くことにしよう。誰も邪魔者はゐねえだから。なあに、女房《かかあ》も家にやゐねえんでね。」
「おかみさんが留守だつて、それあ確かなことかね?」と、用心深い織匠《はたや》は念を押した。
「お蔭で、まだそれほど耄《ぼ》け
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