縊つたりなんぞ出来るものか! あのひとは身投げをしたのさ! 氷の穴から身を投げたのさ! それあもう、あんたがたつた今、酒場のおかみさんとこにゐたつてことよりも確かに妾や知つとるだよ。」
「この無恥女《はぢしらず》めが! 何だつて人に逆らやあがるんだい!」と、猛々しく、紫いろの鼻をした婆さんが喰つてかかつた。「すつこんでやあがれ、この性悪女め! お前んとこへ毎晩、補祭が通つてゐるのを、この妾が知らないとでもいふのかい。」
織匠《はたや》の女房は赫つとなつた。
「補祭がどうしたつて? 補祭が誰んとこへ通ふつてんだい? 何をお前さん、いい加減のことをいふんだい?」
「補祭だつて?」と、語尾を引つぱりながら、南京木綿の表を付けた兎皮の外套《トゥループ》を著こんだ梵妻《おだいこく》が、啀みあつてゐる女たちに詰め寄つた。「補祭などと吐かした奴に思ひ知らせてやるから! 補祭つて言つたのあ誰だい?」
「そら、この女んとこだよ、お前さんの御亭主がちよくちよく通つとるのはね!」と、紫鼻の婆さんが、織匠《はたや》の女房を指さしながら、言つた。
「ぢやあ、お前なんだね、古狸め、」と、織匠《はたや》の女房に詰
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