で彼は思つた。※[#始め二重括弧、1−2−54]屹度、これには何か魂胆があるのだな。※[#終わり二重括弧、1−2−55]
「われわれは僧侶《ばうず》ではござりませぬので、」と、ザポロージェ人は言葉を継いだ。「罪障の深い人間でござりまする。やはり情慾の道にかけましては、堅気な基督教徒のすべてと同様、から意地汚ない方でござりまして。われわれの仲間うちにも女房をもつてをる者は少くござりませぬ。ただセーチでは同棲してをりませぬだけの話で。波蘭に女房を置いてをる者もありますれば、ウクライナに女房を囲つてをる者もあり、土耳古に女房を置くものもありまする。」
ちやうどその時、鍛冶屋の手もとへ一足の靴が届けられた。
「これはこれは、何ともはや、実に見事な飾りで!」と、彼は有頂天になつて、その靴を推し戴きながら叫んだ。「陛下! このやうなお靴をばお召しになつて、御心もそぞろに氷のうへをお辷り遊ばしまする時の、その御足《おみあし》は、果してどんな御足《おみあし》でござりませうか? どう内輪に見ましても、純白の砂糖ででも出来てゐなくては叶ひますまいと存ぜられまするが。」
事実、極めて整つた、素晴らしい脚
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