うな踊り方をしながら、ときどき戯口《ざれぐち》をきいた。コールジュまでが若者たちを見ては我慢がならなくなつて、寄る年波も忘れて浮かれだした。この老人は酒杯《さかづき》を頭にのつけて、四絃琴《バンドゥーラ》を手にすると、煙管《パイプ》をすぱすぱやりながら、歌を口ずさみ口ずさみ、ぞめき連のやんやといふ喝采につれて、しやがみ踊りをおつぱじめたものだ。一杯機嫌になると何をやりだすか知れたものぢやない。仮面《めん》をかぶれば――いやもう、まるで人間の恰好ではない。どうしてどうして、今時の仮装などは、むかし婚礼の時にやつたものとは、てんで比べものにはならんて。当節やるのは、なんぞといへば、せいぜいジプシイか大露西亜人《モスカーリ》の真似ごとぐらゐが関の山ぢや。ところが、そんなものとは大違ひで、一人が猶太人に紛すると一人は鬼になつて、最初は接吻しあつたりなどしてゐるが、そのうちに房髪《チューブ》の掴みあひをおつぱじめる……。まつたくどうも! 一同は腹をかかへて笑ひころげたものぢや。土耳古人や韃靼人の服装《なり》をしてゐる者もある。それがみんな火のやうにキラキラと光つてをるのぢや……。ところが、そのう
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