き》を持つた娘たちが先づ一軒の家へどやどやと寄りつどふ。そして初手《はな》のあひだは、どうやら一生懸命に仕事に身をいれてゐるやうで、紡錘はビイビイ唸り、唄声がはずんで、娘つこたちはめいめい傍目もふらぬ有様なのぢや。ところが、そこへ※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]イオリン弾きをつれた若い衆連が不意に押しかけて来ると同時に――どつといふ叫び声があがつて、とてつもない馬鹿騒ぎが持ちあがり、踊りが始まり、なんともはやお話にもならぬ悪戯《わるさ》がおつぱじまる始末なのぢや。
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バラライカ 露西亜の農民間に愛用される楽器の一種で、共鳴胴の表面が三角形をなす、マンドリンに類似した三絃琴。指頭で絃を掻きならして感傷的な音色を出す。
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だが、何よりも嬉しいのは、一同ひしひしと一と塊りに寄りたかつて、謎々を解いたり、または単に――無駄口をたたく時ぢや。いやどうも、何か一つとして口の端にのぼらぬやうなことがあるだらうか! 古い昔話といふ昔話が一から十まで蒸しかへされるのぢや! ありとあらゆる怖ろしい怪談が持ちだされるのぢや! したが、
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