んが)――われわれの部落《むら》では昔からのならはしで、野良仕事がすつかり片づくといふと、待つてゐたとばかりに百姓たちは長の冬ぢゆう、のうのうと体を休めるために煖炉《ペチカ》の上へ這ひあがり、手前ども同業者仲間はめいめいの蜜蜂を暗い土窖《つちむろ》へかこふのぢや。その頃になると、もう空には一羽の鶴も姿を見せず、枝には梨の果《み》ひとつ残つてはゐない。が、その代り、夕方にさへなれば必らずどこか往還のはづれに灯影がさして、笑ひ声や唄声が遠くまでも聞え、*バラライカや、時には※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]イオリンの音までが漂うて来る。がやがやといふ話声や騒々しい物音が伝はつて来る……。これがわれわれ仲間の所謂※[#始め二重括弧、1−2−54]夜会※[#終わり二重括弧、1−2−55]なんでな! まあ言つて見れば、あなた方の舞踏会に似たやうなものではあるが、さうかといつて、まるきり同じものだとも申しかねる。あなた方が舞踏会へお出かけになるのは、いはば足をふらふらさせたり、口に手をあてて、そつと欠伸をなさらうために他ならないが、われわれの方はさうではない。てんでに紡錘《つむ》や麻梳《あさこ
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