恐怖の色。叫ぶ。
[#ここで字下げ終わり]
「ガタガタ慄《ふる》えているね。お前は熱病にかかったのだ!」
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
18[#「18」は縦中横] 船客たちのどよめき。
[#ここで字下げ終わり]
「熱病!」
「熱病……」
「印度《インド》洋の熱病だ!」
「印度洋の熱病だ※[#感嘆符二つ、1−8−75]」
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
19[#「19」は縦中横] 青年は花嫁の体を腕にかかえて、
20[#「20」は縦中横] そして船室のベッドへ運ぶ。
21[#「21」は縦中横] 船医が診察する。首を大きく振って、
[#ここで字下げ終わり]
「印度洋の特有な悪性の瘧《おこり》らしい」
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
22[#「22」は縦中横] 忽《たちま》ち船全体に大袈裟《おおげさ》な消毒が始まる。
23[#「23」は縦中横] しかし、すでに遅く、悪疫は船内に瀰漫《びまん》しつつあった。まず花やかな薄羅に包まれた淑女たちが、それから紳士と船員が次々にたおれた。みんな恐ろしい寒気を身に感じて、そしてまるで「慄える玩具」のように劇《は
前へ
次へ
全6ページ中3ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
渡辺 温 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング