夫たち。
9 舵手《だしゅ》――一心に舵輪を廻している。
10[#「10」は縦中横] だが! 船尾に到ってよくよく見るならば、この船には全く一つの舵《かじ》もついていないのだ。
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造船工がヒョッとして付け忘れてしまったのらしい。そしてそのことを舵手を始め、船長も誰も知らないとは、ああ、なんたる失敗であろう!
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11[#「11」は縦中横] 風景。
12[#「12」は縦中横] 大洋を走る運命の船。
13[#「13」は縦中横] 楽しい航海生活。――遊戯や、踊りや、酒や……。
14[#「14」は縦中横] 一等船客たちの華美なる舞踏会。
15[#「15」は縦中横] 青年とその美しい花嫁も踊っている。
16[#「16」は縦中横] 突然花嫁は卒倒しかける。叫ぶ。
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「あたし、寒くて寒くて、凍えそうだわ!」
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17[#「17」は縦中横] 青年はびっくりして、花嫁の華車《きゃしゃ》な人形のような体を抱き上げる。
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青年の顔に
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