面目で云ふ。と幽霊が、「三服呑めば死ぬると書いてあるだらう」と笑ふ。すると三人が一時にドツと笑つた。俺も可笑しかつたから、だんまつて笑つた。
 支那人は、スマシタ顔をして、鏡と首引をして居る。スルト、又ガラ/\と戸を開けて残りの一人が帰つて来た。図書館に行つて居たと見えて本をかゝへて居る。これは又、馬鹿に色の黒い奴だ。室に入るや否や、「オイ何処かへ行かう、腹が減つておへぬ」と云ふ。「金は有るかい」と白頭が、嘲弄的の横目を見せる。「有る/\」と幽霊が、スマシタ顔付をして云ふ。話しは直にまとまつて、何だかワヤ/\と云ひながら、四人で部屋を出て行つた。隣の部屋の時計は九時を打つた。四人は何処へ行つたのか、支那人は不相変、夜だか、昼だか解らん様な顔をしてゐる。つい眠くなつたので、俺もツルリと寝込んでしまつた。
 と、云ふ様な様子さ、中々面白かつた。
 其のあくる日も愉快な事があつた。学校は二時半迄だと見えて、それ迄はソハ/\して居る様だ。二時半の鐘が打つてしまふと、四人がノビ/\した顔をして帰つて来た。一人は手紙を書き出した。一人はサンドーをふつて居る。一人は財布をひろげて居る。一人は窓からボ
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