俺の記
尾崎放哉

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)宥《ゆる》して

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)筑波|颪《おろし》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「走」の「土」の代わりに「彡」、第3水準1−92−51]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ゴロ/\/\/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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 俺には名前がない、但し人間が付けてくれたのは有るが、其れを云ふのは暫く差控へて置かう。
 だが、何も恥かしいので云はぬと云ふわけでは毛頭ない。云ひにくいから云はないのだ。外になんにも理窟はない、冬になれば雪が降る、夜になれば暗くなる、腹が減つたら食ふのだ、一体、理窟と云ふ物も、あとから無理に拵へてクツ付けるので、なす事、する事、始めから一一理窟で割り出して来る物ではない。
 余計な事は抜きとして、処で、俺は今年で丁度三つになつた。とは、人間なみに云つて見たので、俺の世界には歳も何も
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