13[#「13」は縦中横]

ひねもすを嗟嘆する 南の色の薔薇の花。

     14[#「14」は縦中横]

火のなかにたはむれる 真昼の靴をはいた黒耀石の薔薇の花。

     15[#「15」は縦中横]

くもり日《び》の顔に映る 大空の窗《まど》の薔薇の花。

     16[#「16」は縦中横]

掌《て》はみづにかくれ 微風《そよかぜ》の夢をゆめみる 未生《みしやう》の薔薇の花。

     17[#「17」は縦中横]

鵞毛《がもう》のやうにゆききする 風にさそはれて朝化粧《あさげしやう》する薔薇の花。

     18[#「18」は縦中横]

みどりのなかに 生《お》ひいでた 手も足も風にあふれる薔薇の花。

     19[#「19」は縦中横]

眼にみえぬ ゆふぐれのなみだをためて ひとつひとつにつづりあはせた 紅玉色《こうぎよくいろ》の薔薇の花。

     20[#「20」は縦中横]

現《うつつ》なるにほひのなかに 現《うつつ》ならぬ思ひをやどす 一輪のしづまりかへる薔薇の花。

     21[#「21」は縦中横]

眼と眼のなかに 空色の時
前へ 次へ
全63ページ中60ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
大手 拓次 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング