の窓から滝本がまぶしさうな顔を出して、
「やあ、今朝は素晴しい天気だな!」
 と水々しい空を見あげた。
「だから、フランクも俺達と一処に海へ行きません?」
 ローラが窓側に駆け寄つて滝本の手を執つた。――「あゝ、間違へてしまつた、また! ――俺……ぢやなかつた、妾達と一処に。」
 ローラの日本語では、何時も囲りの者は笑はされたが、別段訂正しようとする者もなかつたので彼女は、男達の会話をそのまゝ模放して屡々突拍子もない言葉を使ふのであつた。
「だけど僕も、ほんの少しゝか眠つてゐないんでね……」
 滝本も、村井と競ふて徹夜することが多かつた。「星学大系」の翻訳を、夏のうちに片づけて、矢張り皆なと一処に間もなく新しい生活を目指して東京へ出発する筈だつたから――。
「斯んな綺麗な天気は、おそらく一ト夏のうちに三度とは見られないであらう素晴しさだぜ――行け/\!」
 と竹下はすゝめるのであつた。「村井の奴も無理矢理に引きづり起して来いよ。」
「武一は?」
「兄さんはね――毎朝とても早くからラツキイを伴れ出して、競馬場へ通つてゐるわ――馬車は八重ちやんところのリリイが曳いてるのよ。」
 草競馬の季
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