たう。」
 武一も追ひついて来て八重の馬車に飛び乗ると、空を切つて鞭を鳴した。二台の馬車は追ひつ追はれつのかたちで街道を駆け抜けると、再び断崖の中腹を縫ふ螺旋状の径道《こみち》にさしかゝつた。
 滝本は、夢から醒めたやうに顔をあげると悲し気な眼で空を仰いだ。ローラは彼の胸に凭りかゝつたまゝ、
「そこにゐる人達は悪人ぢやないの?」
 と竹下達を指して、小声で囁いだ。滝本は、思はず笑ひ出してしまつた。
「おい竹下、俺がね、堀口のことを悪人だとローラに紹介したところ、ローラつたら君達もその仲間で、此方が、ハンド・アツプに出遇つたのかと思つたんだつてさ。」
「なるほど――」
 と竹下は神妙に点頭いた。「見渡すところ凄い田舎だからな。ローラにして見れば、西部に来たやうな感じだらうからね。」
「大丈夫だよ、ローラ、これは皆な――僕達のキヤムプの仲間なんだから――云はゞ、吾々の危難を知つて救助にやつて来た義勇軍の面々さ。」
 滝本が左う云ふとローラは、ほんとうに安心して竹下に会釈した、ロココ風にさへ見へるはにかみを含んだ様子で――そして、漸く胸の震へが治つたが、さつきはフランクが余り意久地がないので
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