、これでは到底フランクを頼つてはこんな怖ろしい田舎などには滞在出来ぬと思ふと急に情なくなつて、それで泣いてしまつたのだ、それにしてもあの時のフランクの様子は何うしても自分には了解出来ないが――などゝ云つた。
 馬車は、賑やかな笑ひ声を載せて明るい麦畑の中の道をすゝんでゐた。
「ローラさん、フランクは、ほんとうはとても強いんだから大丈夫だよ。」
 半ば滝本をからかふやうな調子で竹下が、フエンシングのチヤムピオンなんだからね! などゝ云ふと、ローラは生真面目に眼を輝かせて、そんなら何故さつきの無頼漢を畳んでしまはなかつたのか? と訊ねた。とう/\堀口は正真の無頼漢になつてしまつたわけである。家庭上のことや堀口のことに就いては、もう何もローラには説明しまい――と滝本は思つた。
「それや百合さんかローラが、いざ無頼漢に奪はれるとなれば、大活劇になつて――俺の誉れをお前に見物させてやることも出来たんだが、救助隊の来方が早過ぎたわけさ。」
「でも、この辺では屡々斯う云ふ野蛮な事件が起るの?」
 ほんとうに西部劇映画の世界にでも来たかのやうにローラが飽くまでも生真面目なのには滝本達も少々てれ臭かつた
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