つての義理合上から私達の面目が……」
「混血児の妹がやつて来たなんてことは、あんまりパツとさせない方が、それこそあなた達の世間態は綺麗でせうがね。何うせ、今迄だつて、きつぱりと秘し通して、こゝまで済んで来たといふ場合に僕達にはあなた達にも、このいきさつは何も解られてゐないと思つてゐたんですもの。」
「冗談ぢやない、十年も前から解つてゐることぢやないか!」
「……然し、ローラさんの今後の問題は何も彼も守夫に負はせて置けば――いや、それが当然の話で――」
「それはまあ今後の別問題として、今日の場合だ、何うしてこのまゝ君の家へ行つて旅装を解かせるなんて、そんな無茶な話を吾々が黙つて見過して居られよう!」
「然し……」
「いや然し……」
 堀口と武一が切りに口論を交へてゐた。
 こちらの馬車は、その間にもう徐に走り出してゐた。滝本の馬車の馭者台には百合子が、そして先へ立つた空馬車には八重が、互に何やら呼応し合ひながら、手綱を振つて駆け出した。竹下と村井が追ひかけて来て、別々の車に飛び乗つた。
「行つてしまへ/\! 百合さん俺が代らう。」
「行つてしまへば、それつきりだ――八重ちやん俺が手綱を持
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