景を口を極めて賞め讚へながら――、
「去年のロメリアで、先生達と一緒にレーキ・サイドへ行つた時に見た景色に似てゐる。」
 などゝ云つた。
「ロメリアつて何なの?」
「ハヽヽヽヽ、それは方言だつたかも知れない、失礼――。ピクニックと|同じ意味《シノニム》なんだけれど、もう少しお祭り気分が濃厚の、あたし達の町の行事《ロマノールム》なのよ。やつぱり斯んな馬車を、花などで飾つて幾台も連ねて、それこそお爺さんもお婆さんも若者も、娘も、皆な夫々得意の楽器を一つ宛抱へて浮れ出すのよ、面白いこと!」
「まあ――。ローラさんの楽器は何なの?」
「タンバリン――去年の時は、お友達とおそろひでジプシーになつてよ。……さう/\、あたしが幼い時分にフランクはホルンを吹いてゐたけれど今でも続けてゐて?」
「……さうだ、あのラツパは持つて来て置きたいな!」
 と滝本は呟いだ。「続けてゐるよ。ねえ、百合さん?」
「あの時――」
 と滝本の背後で百合子が云つた。堀口と争つて海辺へ逃れた時のことを百合子は思ひ出したらしかつた。……「この頃、あの時一度聴いたゞけだけれど……」
 百合子の口紅《べに》が、ラツパについてゐたの
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