覚へたい希望を持つてゐる、どうぞ親切な教へ手になつて呉れ――と心細さうに云つた。
「素養があるんだから、忽ち上達するだらう――それに、僕達の仲間の会話には、地方色がないから、聞いたまゝを、そのまゝテキストにすれば大丈夫だらうよ。」
 滝本は自信あり気な口調で、そんなことを呟いた。
 H駅で降りると、塚本の七郎がラツキーに曳かせた馬車を持つて迎へに出てゐた。
「皆なは?」
 武一や竹下達のことを滝本が訊ねると、皆なは森の家で歓迎宴の支度をして待つてゐる――。
「うちの親爺も八重もお手伝ひで大騒ぎだよ――だけど今から出掛けて行つたら竹下さん達には多分途中で遇ふだらう。」
 七郎は妙にとり済してゐた。そして、凝とラツキーの轡をとつてゐた。――荷物は別の車で送ることにして、出発しようとすると、七郎は、滝本に馭者台に乗れと云ふのであつた。
「ラツキイの奴は、どうも俺の云ふことを巧く訊きやあがらないんだ。篠谷に行つてる間に大分駄馬になつたらしいぜ。」
「車を曳かせるのも乱暴だな。」
 競馬用だつたのに――と滝本は思つた。
「もうどうせ今年からは競馬には出さないつて云ふんで、篠谷ぢや野良になんて伴れ
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