で、少々煩さゝを覚へて、
「さうだ――この地方はアメリカならば、さしづめ西部地方に相当するのだから……」
「百合さんの家は、酋長の家柄なんだらうか?」
「まあ、待つて呉れ――」
彼は苦笑して、武一と竹下に向つて、
「騎手を提供すると云つたならば、余り野蛮過ぎるかしら?」
と相談すると二人は言下に否定して、
「折角八重さんを奪ひ返したばかりのところぢやないか。」
「そんなことを云つたら、奴等は無気になつて――ほんとうに娘達を奪ひかねないからな。」
と慄然とした。
そして、やはり、土蔵の鍵と一決した。――三人は、目星しい物品は大方これまでも生活のために売り尽してゐるガランとした蔵の中を同時に思ひ浮べた。
「剥製の標本類だけだね。」
武一が面白さうに呟いだ。
――然し彼等の相談が一決して、再び競技場に来て見ると、堀口と太一郎の姿は何処にも見あたらなかつた。――一同は、思はず顔を見合せて得体の知れぬ心地に打たれてゐると、八重が、
「あれ/\、彼処に!」
と叫んで、背後の芝生に覆はれてゐる明るい丘を指さすので、一勢に見あげると、馬を連ねた二人が烈しい勢ひでジクザクの小径を駆け昇つて
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