ゐた。その姿が、黄味《きばみ》の強い絨毯に似た芝生に影を吸ひとられて、黒く、シルエツトのやうに扁平になつて忙《せは》しく動きながら間もなく丘の頂きに達すると、青空を背景にして、此方を振り返つてゐた。声はとゞかなかつたが二人はそろつて片手を高く空に挙げると、何か口々に叫んだらしかつた。そして、見る間に丘の向ひ側に姿を没した。
 百合子とローラと八重は、シヤツの腕まくりをして馬に乗ると、戯れらしくそろつてスタートを切つた。ゆるく駆けたり、急にスピードを出したり、さうかと思ふと曲馬の真似でもして遊ばうと話し合つたらしくピヨンピヨンと鞍から飛び降りて、駆ける馬を追つて横乗りに飛び乗つたり――夢中の競走をはぢめたりして、いとも自由に夫々の馬をあしらひながら止め度もなく嬉々として、小さな円形の馬場をはね廻つてゐた。
 三人の男は、丘の中腹に段々となつてゐるスタンドで横隊に肩を組んで並んだまゝ、群像のやうになつて凝つと娘達の遊戯を視詰めてゐた。――水々しい光りが、擂鉢型の丘にとり巻かれた盆地の競場場に八方から降りそゝぐ滝のやうに集中して、キラキラと渦を巻いてゐる上に、その水煙りに似た陽《ひか》りを蹴
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