に環境を形成することは、逆に環境が新なる主体を形成することである。時の現在が過去へと過ぎ去ることは、未来が生ずることである。歴史の世界においては単に与えられたものというものはない。与えられたものは作られたものであり、自己否定的に作るものを作るものである。作られたものは過ぎ去ったものであり、無に入ったものである。しかし時が過去に入ることそのことが、未来を生むことであり、新なる主体が出て来ることである。かかる意味において、作られたものから作るものへというのである。歴史的世界において主体と環境とが何処までも相互否定的に相対立するというのは、時の現在において過去と未来とが相互否定的に対立する如く対立するのである。而して現在が矛盾的自己同一として過去から未来へ動き行く如く、作られたものから作るものへと動き行くのである。而してそれは同時に個物がモナド的に世界を映すと共に逆に世界のペルスペクティーフの一観点であるという如き、多と一との絶対矛盾の自己同一の世界であるということである。かかる世界において作られたということから、作るものが出て来る、而してまた新に作り行くのである。
それで多と一との絶対矛
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