絶対矛盾的自己同一
西田幾多郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)何処《どこ》までも
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)無論|斯《か》くいうも、
【#】:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、底本のページと行数)
(例)【#ここより3字下げ】
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一
現実の世界とは物と物との相働く世界でなければならない。現実の形は物と物との相互関係と考えられる、相働くことによって出来た結果と考えられる。しかし物が働くということは、物が自己自身を否定することでなければならない、物というものがなくなって行くことでなければならない。物と物とが相働くことによって一つの世界を形成するということは、逆に物が一つの世界の部分と考えられることでなければならない。例えば、物が空間において相働くということは、物が空間的ということでなければならない。その極、物理的空間という如きものを考えれば、物力は空間的なるものの変化とも考えられる。しかし物が何処《どこ》までも全体的一の部分として考えられ
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