頃には、私は大にベルグソンに共鳴していた。私が始めてベルグソンを知ったのは、まだ四高にいた頃であった。その頃はベルグソンという名は、まだ世の中に知られていない頃であって、私もその如何なる人かを知らなかった。ただその頃私は純粋経験という考を中心として考えていたので、 Sur les donnees immediates de la conscience.【#“donnees”の最初の“e”と、“immediates”の最初の“e”はアクサン付き】[『意識に直接与えられているものについての試論』(岩波文庫版書名は『時間と自由』)]という書名に誘われたのである。しかし最初にベルグソンの精神を掴んだのは、独訳の Einfuhrung in die Metaphysik【#“Einfuhrung”の“Einfu”の“u”はウムラウト付き】[『形而上学入門』]であった。またどういう機会からであったか、今は思い出せないが、私は早くからメーン・ドゥ・ビランに非常に興味を有っていた。しかし彼自身の著書を手に入れることは、困難であった。京都大学へ来てから、学校へ、ナヴィルの出版した Oeuvres ine
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