フランス哲学についての感想
西田幾多郎

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)書く暇を有《も》たない。

【#】:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、底本のページと行数)
(例)【#“geometrie”の“geo”と“met”の“e”はアクサン付き】
−−

 私はフランス哲学にはドイツ哲学やイギリス哲学と異なった独得な物の見方考え方があると思う。しかし私は今それについて詳しく考え、詳しく書く暇を有《も》たない。ただこれまで人に話したり、或は機に触れて書いたりしたことを、思い出るままに記すだけである。

 デカルトといえば、合理主義的哲学の元祖である。しかし彼の『省察録』Meditationesなどを読んでも、すぐ気附くことは、その考え方の直感的なことである。単に概念的論理的でない。直感的に訴えるものがあるのである。パスカルの語を借りていえば、単に l'esprit de geometrie【#“geometrie”の“geo”と“met”の“e”はアクサン付き】[幾何学の精神]でなくて、l'esprit de finesse[繊細の
次へ
全7ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
西田 幾多郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング