アクサン付き】[うめきながら探求する者]というような哲学者であった。

「センス」でもない「ジン」でもない「サンス」は、一面において内面的と考えられると共に、一面に社会的、常識的とも考えることができる。概念に制約せられない直感である。それは自己自身を表現する実在、歴史的実在に対する「サンス」である。そういう意味においては、かかる立場から世界を見るのはモンテーンが先駆をなしたということができるであろう。彼は実に非哲学者的な哲学者である。日常的題目を日常的に論じた彼の『エッセー』の中には、時に大げさな体系的哲学以上の真理を含んでいる。歴史的実在の世界は日常的世界である(そこが哲学のアルファでもオメガでもある)。彼の描いた自己は日常的世界において生きぬいた自己である。しかしそこからはすぐパスカルの『パンセー』の世界にも行ける。彼は偉大な凡人である。モンテーンがフランス人にこういう物の見方考え方を教えたともいえるであろう。そこからラ・ブリュイエルやヴォーヴナルグなどのいわゆるモラリストへ行くこともできるが、途《みち》はメーン・ドゥ・ビランやベルグソンの哲学へも通ずるのである。

 京都へ来た初
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