立つ所で有ったと、是だけの事である、シテ見れば贋電報の本人は全く松谷秀子の附添人虎井夫人だ、勿論小僧の言葉に疑いは無いけれど、念の為に何か汝の言葉が証拠が有るかと問うた所、証拠は無いが五日程経て此の手紙が来た、と云って小僧の差し出すのを見ると、全く余が電信局で見た頼信紙の拙い文字と同じ筆蹟で「電信の事、誰にも云うな新聞の広告にも返事するな、誰にも知られぬ様に伏せ果せたなら今より二月の後、持って行って褒美を五磅遣る、きっとだよ」と書いて有る、是で充分だから余は約束の金を与え小僧を帰した。考えると余り愉快では無い、勿論怪美人、イヤ最う怪美人とは云うまい松谷秀子だ、其の秀子が知った事では無く全く秀子に隠して仕た事に相違は無いが、兎も角秀子の附添人が此の様な事を仕たかと思えば余の心中は何と無く穏かならぬ、贋電報まで作って余の叔父を誘き寄せる所を見ると叔父に対して何か軽からぬ目的を持って居るとしか思われぬ、爾すればお浦の疑った事も幾分か事実らしくも成る、併しナニ、併しナニ、秀子の知らぬ事だから何も虎井夫人の罪の為に秀子を疑う可き道はないなど、余は成る可く我が心で疑いを掻き消す様にしたが、実際秀子
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