幽霊塔
黒岩涙香

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)叔父|丸部朝夫《まるべあさお》

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)叔父|丸部朝夫《まるべあさお》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、底本のページと行数)
(例)※[#「※」は底本では、つつみがまえの中に夕、24−下11]《そう》

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)嵩じ/\た果が
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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第一回 ドエライ宝

「有名な幽霊塔が売り物に出たぜ、新聞広告にも見えて居る」
 未だ多くの人が噂せぬ中に、直ちに買い取る気を起したのは、検事総長を辞して閑散に世を送って居る叔父|丸部朝夫《まるべあさお》である。「アノ様な恐ろしい、アノ様な荒れ果てた屋敷を何故買うか」など人に怪しまれるが夏蝿《うるさ》いとて、誰にも話さず直ぐに余を呼び附けて一切買い受けの任を引き受けろと云われた。余は早速家屋会社へ掛け合い夫々《それぞれ》の運びを附けた。
 素より叔父が買い度いと云うのは不思議で無い
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