ると兼ねて聞いて居たが」と云い、本の小口を下に向けて振って見た、すると中から一尺四方ほどの一枚の古い古い図面が出た、図面には「丸部家図※[#「※」は「たけかんむりの下にかねへんの碌」、読みは「ろく」、32−下5]」と書いてある、是だ、是だ、是さえあれば何事も分るだろう。

第十一回 チャリネの虎

 図※[#「※」は「たけかんむりの下にかねへんの碌」、読みは「ろく」、32−下7]とは何の様な者だろう、余も叔父も首を差しのばして検めたが、全く幽霊塔の内部を写した図面であるが、悲しい事には写し掛けて中途で止めた者で、即ち出来上らぬ下画《したえ》と云うに過ぎぬ、是では何の役にも立ぬ、咒文を読んで分らぬ所は図※[#「※」は「たけかんむりの下にかねへんの碌」、読みは「ろく」、32−下10]を見ても矢張り分らぬ、叔父の説では幽霊塔を立てた人が、先ず咒文を作って次に図※[#「※」は「たけかんむりの下にかねへんの碌」、読みは「ろく」、32−下11]を作り始めたが、中途で自ら塔の中へ落ち、此の世へ出ずに死んだから、夫で図※[#「※」は「たけかんむりの下にかねへんの碌」、読みは「ろく」、32−下13]だけ
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