句)我が家の宝が元の箱へ還った(第六句)今は物騒な世の中だから(第七句)人の知らぬ様に家の中へ隠して置く(第八句)」と、此の様な事でも有ろうか、併し此の次の四句は更に分らぬ、鐘が鳴るの、緑が動くの、微かな光が閃めくの、昇るの降るのとて、全体何の事だ、此の四句が能く分れば多分は其の宝の在る所へ行く路も分り、従って其の宝と云う物は全くあるかないか此の伝説が虚か誠かと云う事を見極める事も出来ようけれど、到底此の意味は分らぬから仕方がない、唯余に分らぬのみでなく恐らくは誰にも分らぬで有ろう、分らねばこそ今まで何百年も秘密と為って存して居るのだ、とは云え末二句には聊か頼もしい所がある「神秘の在る所、黙して図※[#「※」は「たけかんむりの下にかねへんの碌」、読みは「ろく」、31−上23]を披け」と云うは「詳しい事は図面で見よ」と云う様な心ではあるまいか、爾とすれば其の図※[#「※」は「たけかんむりの下にかねへんの碌」、読みは「ろく」、31−下1]とか云う図面を見れば、最《もっ》と能く分り相に思われる。
此の様に考え回す所へ、叔父は時計室から降りて来て「何う見ても時計の捲き方は分らぬ、夜前の松谷秀
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