り同人である、是だけは最早言い争う余地がない、けれど其の第一号が果たして殺人女輪田夏子だと云う事は何の証拠もない。
 まさかに松谷秀子が其の殺人女だとは受け取れぬ、何の様な証拠が有るにもせよ、争われるだけは争い、疑われるだけは疑って見ねば成らぬ。
 とは云え、今までの事を能く考え合わせて見ると先生の言葉には千貫の重みが有る、余が言葉は殆ど何の根拠とする所もない。
 余は幽霊塔に入って後、幾度も塔の村の人々から輪田夏子の容貌などを聞いた事が有る、丸い顔で眉が長くて顎に笑靨が有ったなどと、全く第一号の顔形と符合して居る、しかのみならず夏子はお紺婆を殺したとき、左の手の肉を骨に達するまで噛み取られたと云う事だが、夫ほどの傷なら今以て残って居ねばならず、秀子が全く夏子なら秀子の手に其の傷が有るはずだ、実際秀子の手に其の様な傷が有るだろうか、待てよ、待てよ、秀子の左の手は毎も長い異様な手袋に隠れて居る、此の手袋の下に秘密が有るとはお浦が幾度も疑った所で、或る時は其の手袋を奪い取り、愈々秘密を見届けた様に叫んだ事も有る。
 其の秘密を見られたが為に秀子がどれほど立腹したか、お浦を殺すとまで劫《おび
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