等美しくとも心の醜さは分って居る、其の醜さを隠して、余を欺き余の叔父をまで誑《たぶら》かして居るかと思えば、実に譬え様のない横着な仕打ち天性人を欺くに妙を得た者に違いない、真に秀子が夏子の化けたのに相違ないであろうか。
二個の顔付きは全く違って居るとはいえ、能く見れば同じ事だ、先生の言葉に引き合わせて、見較ぶれば悲しい哉、争うに争われぬ、余は顔形を見詰めたまま目には涙、胸には得もいえぬ絶望の念が込み上げて来たが能く思うと、未だ一点の望みはある、なるほど第二号の顔形が第一号の変形には相違あるまい、けれど其の第一号が全く輪田お夏という証拠は少しもない、第二号も秀子なら、第一号も本来の秀子で、決して輪田夏子ではないかも知れぬ。
余は迫き立てる様に先生を呼び「ですが先生、第一号が輪田夏子だという証拠は何所に在ります。唯貴方の許へ其の様に名乗って来たというに過ぎぬのでしょう、偶然に名乗った姓名が殺人女と暗号したか、或いは自分の本姓本名を秘する為に殊更に世に知られた殺人女の名を用いたのか其の点は貴方に分りますまい」
第八十回 千貫の重み
第二号の顔形と第一号の顔形とは如何にも先生の謂う通
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