せむし》の男、イヤ未だ男とも云い難い十五六の子供であるが、其の穢く汚れて居る事は譬うるに物もない、髪の毛は何時剃刀を入れたとも知れず、蓬々と延びて塵に塗り、猩《しょう》々の毛の様に顔に被さり、皮膚の色は殆ど煤がかった鼠色である。斯うも不衛生な有様で能く先ア活きて居られることだ。余は色々と声を掛けたが、全くの白痴と見えて一言の返事もせぬ、唯異国から連れて来た動物が檻の中から珍し相に人間の顔を眺めるのと略ぼ同じ面持を示して居る。何故に此の様な者を匿まって置くであろう、分った多分は可なり財産の有る家に生まれたので、其の親が世間体の為に此の様な子を家に置く訳にも行かず、と云って慈善院などへ入れるのも世間へ知れる恐れがあるので、金を附けて此の家へ預けたのでも有ろう。爾だ、此の家は総て人の秘密を食物にして居るので、此の様な者を預り、親から金をユスリ取る事の出来る間は活かして置き、金が出ぬ様になれば殺してひそかに庭の木の下へ穴を掘って埋めるのだ。世間に満ざら類のない商売でもない、物の本では折々読んだ事もある。
先ア何しろ此の態では可哀相だ、救い出して人間並みの待遇を受ける事に仕て遣り度い。縦しや秘
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