失敬です、人を一室へ閉じ込むなどと」医学士「左様、夜中に他人の家へ忍び込むのと大体似寄った仕打ちでしょう、私の方ばかりが失礼でも有りませんよ」余「余り卑怯です。私の所業に咎む可き所が有れば公公然とお咎め成さい。逃げも隠れもする男では有りません、裁判所の召喚にでも、決闘の挑発書にでも、ハイ何にでも応じます」医学士「爾でしょうよ、決闘などは仲々お強そうだ、今では迚も私は叶いませんから最う四五日も経てばお相手致しますよ。先ア其の室に四五日居て御覧なさい、幾等貴方が強くとも飢えと云う奴には勝てませんよ、好い加減に身体が弱って、決闘するなどの心がなくなりますから、ハイ其の節緩くり御意見を伺いに参りましょう」
 此の様な横着な、狡猾な、爾して癪に障る仕打ちが又と有ろうか、余を飢えさせて弱らせて其の上で相手にする積りで居やあがる、余「では四五日も私を此の室へ閉じ籠めて置くと云うのですか」医学士「ハイ抵抗力のなくなるまでお宿を致す外は有りません」余「実は貴方がたのする事は人間に有るまじき所業です、何等の卑劣、何等の卑怯です、私の立ち去るのを少しも邪魔せぬなどと云い欺いて油断させて置いて、出し抜けに私を
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