は一家の家名に拘わろうも知れぬから、是非とも他人の見ぬ所で検めて呉れとて探偵に頼み、漸くに聴かれた相だ。
 暫くすると巡査数人が風呂敷包みを舁いで此の家の方へ来る、最早塔の上に居たとて仕方がない、余は双眼鏡を衣嚢に納めて下へ降りて行った、風呂敷包みは玉突き室の隣に在る土間へ入れられ、茲で開かれる事になったが、余は第一に其の風呂敷包みを見て驚いた、何故と云うに尋常の風呂敷ではなく、東洋の立派な織物で、実は先の日お浦が消滅した時、其の室の卓子に掛かって居た卓子掛けである、其の卓子掛けは確かにお浦の消滅する時まで無事で有ったが、お浦と共に紛失したと云う事で、余は病床に居る間に其の事を聞いた、確かに叔父が「大事の卓子掛けが無く成ったが其の方が何所か外の室へ持って行きはせなんだか」と余に聞かれた事がある、是が即ちその卓子掛けである。
 探偵が先ず此の場合の主人公と云う位置を占め、其の包みを解《ほど》き始めた、突き出て居る足は確かに女の足である、其の足の方から順に上へ上へと解いて行くのだ、少し解くと直ぐに着物の端が現われたが、是も余には見覚えがある、消滅の時にお浦のきて居た着物である、探偵は呑み込
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