う、其の様な刃物が何所にあるだろうと聞くと、昔|伊国《いたりや》などで、女の刺客が何うかすると此の様なのを用いたが、極めて鋭いから少しの力で人を刺す事が出来るけれど、其の代り創口が余り微妙で、出血が少いから急所さえ外れて居れば存外早く直る、余の怪我も大事にすれば一週間で床を離れる事が出来ようと云われた、シテ見れば驚くほどの大怪我ではない。
大怪我ではないのに創口の燃える様に痛く、爾して全身の機関が働きを失ったは何う云う者だろう、医師の説は余の考えと同じく印度に産する Curare と云う草と Granil と云う草の液を混ぜて調合した毒薬を剣の刃に塗って有ったに違いないとの事だ、医師は語を継いで「之は専門の刺客のする業です。イヤ刺客に専門と云う事はないが、兎に角余ほど人を刺す術に通じて居る者で無くば、此の様な事は出来ません、薄い刃物で人を刺すには今云う通り遣り損ずる事が有ります、刃《やいば》へ此の毒を塗って置けば遣り損じた所で其の人が働きを失って追っ掛けて来る事が出来ません、其れだから仕損じる恐れの有る場合に、此の様な毒を塗って置くのです、之は臆病の刺客の秘伝だと云いますが、その様な
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