れて此の室から運び去られた。
余の怪我と聞いて、頓て叔父を初め大勢の人も馳け附けた、叔父は取り敢えず余を一番近い寝間へ寝かせようと云ったけれど、余は矢張り塔の四階に在る余の寝間へ連れて行って貰い度いと言い張った、怪我人の癖に塔の四階とは不便だけれど、余は兼ねて秀子に約束し、必ず塔の四階に寝ると云ってあるから、其の約束を守る積りだ、四階に寝て居れば又何の様な怪しい、寧ろ面白い事があるかも知れぬ。
間もなく余は塔の四階へ舁ぎ上げられたが、何となく気に掛かるは、お浦の消えて了った一条だ、幾等考えてもアノ室より外へ出た筈はなく室の中で消えたに違いないけれど、人一人が燈火の様に吹き消される筈はないから、或いは何う云う事でアノ室を抜け出て鳥巣庵へ帰ったかも知れぬ、念の為だから鳥巣庵へ人を遣って見ねば成らぬと思い、叔父に其の事を頼んだ所、叔父は、「何も茲へお浦が来るには及ぶまい」と云ったけれど又思い直したか、
「爾だ、医者の所へ遣る使いの者に、帰りに鳥巣庵へ寄る様に言い附けよう」と、斯う云って下へ降りた。
三十分ほどを経て、其の使いは帰って来たが、お浦は未だ鳥巣庵へも帰って居らぬと云う事だ、余
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