みがしらの下に几」、読みは「こん」、60−上14]偸奪、夜水竜哭などと云って――」秀子「イヤ夫ほど覚えて居らっしゃれば好いですが其の意味は分りましたか」余「意味は到底分りませんよ、末の方の文句等は恐らく無意味だろうと思われます、彼の咒語を作った此の家の先祖が幾分か神経でも狂って居たのでは有りますまいか」秀子「そうお思い成さると間違います、何うか熱心にお考え下さい、私は毎日のように咒語と図※[#「※」は「たけかんむりの下にかねへんの碌」、読みは「ろく」、60−上19]とを研究して居ますが、自分だけの力では少し届き兼ねることが有ります、貴方ならば博学ゆえ――」余「イヤ私は腕力こそ自慢ですが学問は少しも博くないのです、ですが何故に其の様な事をお急ぎ成さるのです」秀子「実は大変な事が出来ました、私は昨日の昼間も茲へ来て、塔の実際をアノ図※[#「※」は「たけかんむりの下にかねへんの碌」、読みは「ろく」、60−上24]と咒語とに考え合せ、自分で合点の行った事だけを手帳へ書き、爾して此の廊下の外の壁にある秘密の穴へ隠して置きました、猶調べたい事が有って今上って来ました所、其の手帳が紛失して居るのです
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