でも出ようなら一語をも終らぬ中に彼を叩き殺して呉れようか知らんと、余は此の様にまで思って一歩も去らずに秀子の傍に附いて居る。
 叔父が先ず秀子に向って「実は是なるお浦が是非とも和女《そなた》に逢い、前の無礼を親しく詫びたいと云い、私に和女の居る所を捜して呉れと頼むから、イヤ断っても、日頃の気短い気性で仲々聴かぬから、此の通り連れ立って和女の居所を探して居たのだ」叔父が斯う云って居る中に秀子の目は夫とも知らずに一寸高輪田の眼に注いだ様だ、爾して何だか悸《ぎょっ》と驚いたかの様にも思われたけれど、是は多分余の心の迷いから此の様な気がしたので有ろう、爾かと思って見直して見るに秀子の顔は相変らず静かで、恐れも喜びも何も浮べては居ぬ、唯品格の有る態度で「左様ですか、けれど浦原嬢からお詫びなど受ける様な事は少しも有りませんが」お浦は茲ぞと云う風で進み出た。言葉の言い廻しも甚だ旨い、「秀子さん貴女にそう仰有られると私は恨まれるより猶辛く、ホンに消え入り度く思いますよ、朝倉男爵の手品会の席で、貴女を仲働きだと、途方もない事を申しまして今考えると私は貴女に何れほど恨まれても仕方がないと、イイエ実に後悔に
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