改むるに何の憚るところがあろう。(二行削除)
「私は大杉さんが大好きであった。しかし決して惚れていた訳ではない。」惚れていた、などという言葉は使わなかったろうが、とにかくこんな意味のことを、君はよく人に話したそうだ。話は横道へそれるが、ヴォルテールの哲学事典の「姦通」の項を開いて見ると、これとちょっと似た面白いことが書いてある。
「善良な夫婦者は、今ではもう、そんな卑しい言葉は使わない。姦通などと言う言葉は、決して口にすらも出さない。女が、その友人達に自分の姦通のことを話す時には、〔J'avoue《ジャヴウ》 que《ク》 J'ai《ジェ》 du《デュ》 gou:t《グウ》 pour《プウル》 lui《リュイ》〕(私ね、本当は、あの方が好きなの)と言う。もっとも、昔は、尊敬している、とも言ったものだ。ところが、ある金持ちの女房が、ある役人に多少の尊敬を持っていることを、坊さんに懺悔した。するとその坊さんが、〔Madame《マダム》, combien《コンビエン》 de《ドウ》 fois《フォア》 vous《ヴウ》 a−t−il《ザテイル》 estime'e《エスティメ》 ?〕(奥さん、そ
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