屋の前で僕はまた倒れてしまった。そして倒れると同時に、その板の間が血でどろどろしているのを感じた。
 女中は呼んでも返事がなかった。みんな二階の親戚の客におどかされて、一緒に奥の方へ逃げこんでいたのだ。しばらくして、その親戚の一人の年増の女がおずおずとそばへ来た。
「あのね、すぐ医者を呼んで下さい。それから東京の伊藤のところへすぐ来るように電話をかけて下さい。それからもう一つ、神近の姿が見えないんだが、どうかすると自殺でもするかも知れないから、誰か男衆に海岸の方を見さして下さい。」
 僕はこれだけのことを相変らず咽喉をひいひい鳴らしながら、ようやくのことで言った。そして僕は煙草を貰って、その咽喉の苦しさをごまかしていた。傷はピストルではなく、刃物だということもその時にようやく分った。
 やがて、どやどやと警官どもがはいって来た。そしてその一人はすぐと僕に何か問い尋ねようとした。
「馬鹿! そんなことよりもまず医者を呼べ。医者が来ない間は貴様等には一言も言わない。」
 僕はその男をどなりつけながら、頭の上の柱時計を見た。三時と三十分だった。
「すると、眠ってからすぐなのだ。」
 と僕は自
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