った。しかし、今さら、こっちも起きるのも強ばらだと思った。ピストルで頭をやられてはちょっと困ると思ったが、しかし刃物なら何とか防ぎようがあると思った。ピストルはそう急に彼女の手にはいるまい。だから、兇器はきっと刃物だろうと思った。
「しかし、どんなことがあっても、こんどは決して眠ってはならない。眠れば、僕はもうお終いなのだ。」
 僕はそう決心して、やはり前のように目をつぶったまま両腕を胸の上に並べて、息をすまして、頭の向うでの呼吸を計っていた。その時、どこかで時計が三時を打つのを聞いた。僕はやはり息をすまして向うの動静を計っていた。
 ふと僕は、咽喉のあたりに、熱い玉のようなものを感じた。
「やられたな。」
 と思って僕は目をさました。いつの間にか、自分で自分の催眠術にかかって、眠ってしまっていたのだ。
「熱いところを見ると、ピストルだな。」
 と続いて僕は思った。そして前の方を見ると、彼女は障子をあけて、室のそとへ出て行こうとしていた。
「待て!」
 と僕は叫んだ。
 彼女はふり返った。
(これで僕は最初に話したお化のところまで戻った訳だ。そのお化の因縁話をすました訳だ。が、事件はま
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