心配や、母のない大勢の子供等のための心配なぞで、急に年がふけたのだ。急に金のありがた味を感じだしたのだ。
それに、父の兄の話を本当だとすると、父はもう軍人生活に見切りをつけて、実業界へでも鞍がえするつもりでいるらしかった。毎朝新聞を見るのにでも、きっと相場欄に目を通していた。そして僕にもそれを読むように勧めて、その読みかたなどをいろいろと講釈までしてくれた。僕はいつの間に父がそんなことを知ったのだろうと怪しんだ。が、この実業熱も新聞の相場欄に対する熱心も、実はその先生があったのだった。ある日連隊区司令官の何とかいう中佐か大佐のうちへ遊びに行ったが、僕はその司令官から父の講釈そのままの講釈をまた聞かされた。
僕は父が急にふけて見すぼらしくなったのは傷ましかったが、しかしその心の変化には少しも同情ができなかった。むしろ父を賤しみさえした。そして父の先生がその司令官であったのを見て、軍人がみなそんなさもしい心になったのじゃないかと憤慨しかつさげすんだ。
したがって、しばらく目の僕の帰省も大して愉快ではなかった。そして一カ月ばかりしてまた東京に帰った。
外国語学校にはいって見てすぐが
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