うろしているのを見た。僕は母はもう死んだのだと思った。しかもまだ今死んだばかりのところだと思った。そしてそのうろうろしている人達の一人をつかまえて、「お母さんはどこにいます」と聞いた。が、その女の人はちょっと大きく目を見はって見て、何にも答えないで、わあと声を出して泣いて、逃げるようにして行ってしまった。僕はまたもう一人の女の人をつかまえた。が、やはりまた、前と同じ目に遭った。
仕方がないので、どこか奥の方の室だろうと思いながら、まず先きの人達の逃げこんだ玄関のすぐ次の室にはいった。その室とその奥の座敷との間の襖は取りはずされて、その二つの室一ぱいに大勢の人達が坐っていた。僕がはいって行くと、みんなは泣きはらした目をやはり先きの人達と同じように大きく見はって僕の顔を見つめていたが、僕がまた「お母さんはどこにいます」と聞くと、その中の女の人達はまたわあと声をあげて泣きだした。そして誰一人僕の問いに答えてくれる人はなかった。僕は変な気持になりながら、仕方なしに、また襖をあけて玄関の奥の一室にはいった。そこは母の居室になっていたものと見えて、箪笥だの鏡台だのがならんでいるだけで、誰もいなか
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