まり、そうして、彼の両頬は餓えた鹿のように細まって落ちていた。
「王子、王子。」
彼女は跪拝《ひざまず》いて小声で長羅を呼んだ。彼女の声はその気高き容色の上に赧《あか》らんだ。しかし、長羅は依然として彼女の前で眠っていた。彼女は再び膝を長羅の方へ進めて行った。
「王子よ、王子よ。」
すると、突然長羅の半身は起き上った。彼は爛々《らんらん》と眼を輝かせて、暫く部屋の隅々を眺めていた。そうして、漸《ようや》く跪拝いている香取の上に眼を注ぐと、彼の熱情に輝いたその眼は、急に光りを失って細まり、彼の身体は再び力なく毛皮の上に横たわって眼を閉じた。香取の顔色は蒼然《そうぜん》として変って来た。彼女は身を床の上に俯伏《うつぶ》せた。が、再び弾《はじ》かれたように頭を上げると、その蒼《あお》ざめた頬に涙を流しながら、声を慄《ふる》わせて長羅にいった。
「王子よ、王子よ、我は爾《なんじ》を愛していた。王子よ、王子よ、我は爾を愛していた。」
彼女は不意に言葉を切ると、身体を整えて端坐した。そうして、頭から静かに、玉鬘《たまかずら》を取りはずし、首から勾玉をとりはずすと、長羅の眼を閉じた顔を従容《し
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