ょうよう》として見詰めていた。すると、彼女の唇の両端から血がたらたらと流れて来た。彼女の蒼ざめた顔色は、一層その色が蒼ざめて落つき出した。彼女の身体は端坐したまま床の上に傾くと、最早《もは》や再びとは起き上って来なかった。こうして、兵部《ひょうぶ》の宿禰の娘は死んだ。彼女は舌を咬《か》み切《き》って自殺した。しかし、横たわっている長羅の身体は身動きもしなかった。

 香取の死の原因を知らなかった奴国の宮の人々は、一斉に彼女の行為を賞讃した。そうして、長羅を戴く奴国の乙女たちは、奴国の女の名誉のために、不弥《うみ》の女から王子の心を奪い返せと叫び始めた。第四の乙女が香取の次ぎに選ばれて再び立った。人々は斉しく彼女の美しさの効果の上に注目した。すると、俄然《がぜん》として彼女は香取のように自殺した。何《な》ぜなら香取を賞讃した人々の言葉は、あまりに荘厳であったから。しかし、また第五の乙女が宿禰のために選ばれた。人々の彼女に注目する仕方は変って来た。けれども、彼女の運命も第四の乙女のそれと等しく不吉な慣例を造らなければならないのは当然のことであった。こうして、奴国の宮からは日々に美しい乙女が
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