蚯蚓《みみず》と、酢漿草《かたばみそう》と、童女の経水《けいすい》とを混ぜ合せた液汁を長羅に飲ませるために苦心した。しかし長羅はそれさえも飲もうとはしなかった。そこで、宿禰は奴国の宮の乙女《おとめ》たちの中から、優れた美しい乙女を選抜して、長羅の部屋へ導き入れることを計画した。しかし、第一日に選ばれた乙女と次の乙女の美しさは、長羅の引き締った唇の一端さえも動かすことが出来なかった。宿禰は憂慮に悩んだ顔をして、自ら美しい乙女を捜し出さんがため、奴国の宮の隅々《すみずみ》を廻り始めた。その噂《うわさ》を聞き伝えた奴国の宮の娘を持った母親たちは、己《おのれ》の娘に華《はな》やかな装《よそお》いをこらさせ、髪を飾らせて戸の外に立たせ始めた。そうして、彼女自身は己の娘を凌駕《りょうが》する美しい娘たちを見たときにはそれらの娘たちの古い悪行を、通る宿禰の後から大声で饒舌《しゃべ》っていった。こうして、第三に選ばれた美しい乙女は、娘を持つ奴国の宮の母親たちのまだ誰もが予想さえもしなかった訶和郎《かわろ》の妹の香取《かとり》であった。しかし、己の娘の栄誉を彼女のために奪われた母親たちの誰一人として、香
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