踏み合う彼らの足尖《あしさき》から、砂が跳ね上った。草葉が飛んだ。そうして、反絵の血走った片眼は、引《ひ》っ掴《つか》まれた頭髪に吊り上げられたまま、長羅の額を中心に上になり、下になった。二つの口は噛《か》み合った。乱れた彼らの頭髪は絡《から》まった鳥のようにぱさぱさと地を打った。
卑弥呼の高座は二人の方へ近か寄って来ると降された。しかし、耶馬台の兵士の中で、彼らの反絵を助けようとするものは誰もなかった。何《な》ぜなら、耶馬台の恐怖を失って、幸福を増し得る者は彼らであったから。彼らは卑弥呼と一緒に剣を握ったまま、血砂にまみれて呻《うめ》きながら転々する二人の身体を見詰めていた。彼らの顔は、一様に、彼らの美しき不弥の女を守り得る力を、彼女に示さんとする努力のために緊《ひ》き締《しま》っていた。しかし、間もなく彼らの前で、長羅と反絵の塊《かたま》りは、卑弥呼の二人の良人《おっと》の仇敵は、戦いながら次第にその力を弱めていった。そうして、反絵の片眼は瞑《つ》むられたまま砂の中にめり込むと、二人は長く重なったまま動かなかった。卑弥呼はひとり彼らの方へ近かづいた。そのとき、長羅は反絵の胸を踏み
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