つけて、突然地から湧き出たように起き上った。彼は血の滴《したた》る頭髪を振り乱して、柔《やわらか》に微笑しながらその蒼《あお》ざめた顔を彼女の方へ振り向けた。
「卑弥呼。」
彼女は立ち停ると剣を上げて身構えた。兵士たちは長羅の方へ肉迫した。
「待て。」と彼女は彼らにいった。
「卑弥呼、我は爾《なんじ》を迎えにここへ来た。」
長羅は腹に反絵の剣を突き通したまま、両腕を拡げて彼女の方へ歩もうとした。しかし、彼の身体は左右に二足三足|蹌踉《よろ》めくと、滴る血の重みに倒れるかのようにばったりと地に倒れた。彼は再び起き上った。
「卑弥呼、爾は我と共に奴国へ帰れ。我は爾を待っていた。」
「爾は我の夫《つま》の大兄《おおえ》を刺した。」
「我は刺した。」
「爾は我の父と母とを刺した。」
「我は刺した。」
「爾は我の国を滅ぼした。」
「我は滅ぼした。」
長羅は再び蹌踉めきながら彼女の方へ歩みよった。と、またも彼の身体はどっと倒れた。振り上げた卑弥呼の剣は下がって来た。長羅はなおも起き上ろうとした。しかし、彼の胸は地に刺された人のように地を放れると地についた。そうして、彼は漸《ようや》く砂の上か
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