は私《わたし》の弱《よわ》さを強《つよ》さと感《かん》じないことだけだ。私《わたし》はリカ子《こ》にいった。お前《まえ》はいつの間《ま》にやら私《わたし》のびっくりするような女《おんな》の知識《ちしき》を探《さが》して来《き》たが、それはお前《まえ》がお前《まえ》とQとを滅《ほろ》ぼしていく知識《ちしき》であるだけで、結果《けっか》は私《わたし》を一|層《そう》救《すく》い上《あ》げていくにすぎないのだ。私《わたし》はお前《まえ》の落《おと》していくものをいつも拾《ひろ》ってばかりいるのを知《し》らないのか。お前《まえ》はお前《まえ》の落《おと》しているものが何《な》んであるのか知《し》らないのか。しかし、いくらいってもリカ子《こ》はただ自身《じしん》の投《な》げた言葉《ことば》のために蒼《あお》ざめているだけで、終《しま》いには私《わたし》の膝《ひざ》の上《うえ》で泣《な》きながらもう再《ふたた》びQの所《ところ》へは戻《もど》らないといい出《だ》した。私《わたし》はもう一|度《ど》彼女《かのじょ》をQの所《ところ》へ帰《かえ》すために、また偽《いつわ》りを並《なら》べて苦心《くしん
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