》り出《だ》して再《ふたた》び全《まった》く別《べつ》の驚《おどろ》きに変《かわ》り出《だ》したというのは、他《ほか》でもない。Qは怪《あや》しい顔《かお》をしている私《わたし》の表情《ひょうじょう》に向《むか》って投《な》げつけるように、そのダイヤモンドの母岩《ぼがん》が礫岩《れきがん》であり削剥堆積《さくはくたいせき》の噴出状態《ふんしゅつじょうたい》の痕跡《こんせき》を表《あらわ》している所《ところ》を見《み》ると、オルドウィス紀《き》の噴出《ふんしゅつ》にちがいなく、母岩《ぼがん》が礫岩《れきがん》でオルドウィス紀《き》の噴出《ふんしゅつ》なら、ミナスゲラス以外《いがい》にはないではないかといい出《だ》した。私《わたし》にはミナスゲラスさえ知《し》らないのにどうしてQがそのミナスゲラスとダイヤモンドとの関係《かんけい》を知《し》っているのだろうか、これは全《まった》く驚《おどろ》く以外《いがい》にはなくなって、ふと私《わたし》はリカ子《こ》が傍《そば》にいることさえ忘《わす》れてしまい、君《きみ》のいうミナスゲラスとはいったいどこだいと訊《き》いてみた。すると、Qはこれ以上《い
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