リカ子《こ》の身体《からだ》を振動《しんどう》させていたということが、二人《ふたり》の運命《うんめい》をひき裂《さ》く原因《げんいん》となって黙々《もくもく》と横《よこ》たわっていたのである。後《あと》で気《き》づいたのだがこのラジオレーヤーと同様《どうよう》な機械《きかい》は私《わたし》がリカ子《こ》の部屋《へや》へいく前《まえ》から、リカ子《こ》は最早《もはや》いくらかの腹痛《ふくつう》を自分《じぶん》で癒《なお》すためにかけていたのだ。だから彼女《かのじょ》がその途中《とちゅう》で機械《きかい》の狂《くる》いを直《なお》そうとして私《わたし》を呼《よ》びに来《き》た時《とき》には、もう彼女《かのじょ》の身体《からだ》は十|分《ぶん》刺戟《しげき》を受《う》けて既《すで》に過失《かしつ》に侵《おか》されていたのである。しかし、私《わたし》は彼女《かのじょ》のその時《とき》の興奮《こうふん》がただ私《わたし》の為《ため》ばかりだと長《なが》い間《あいだ》思《おも》っていて、彼女《かのじょ》がその時《とき》そのようにも私《わたし》を愛《あい》した態度《たいど》の中《なか》には、機械《き
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